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06 2011
Posted in Diary, Yururi : Blog by Ryu at 11:51 pm | No Comments »

 詩人の清水昶さんが亡くなった。

 清水さんはPARADAのご近所さんで、店の前を掃除しているときに、道路を挟んだ反対側の歩道をよたよたと歩いている姿を毎朝のように見かけた。

 たまに目が合ってしまうと、指をくいっくいっと動かし、こっちに来いという仕草をする。ちょっと肩を貸せということだった。「命の恩人だあ」と大きな声で言いながら、僕の肩につかまってコンビニの扉を開け、中に入ると、店員さんがさささっと棚から日本酒のワンカップを2本持ってきて、清水さんの前に差し出すのだった。それから欅並木にあるベンチに移動し、そこでお昼過ぎまで、本人曰く「体操」をしたり、書き物をしたりして過ごすのである。雨の日も雪の日も。それがここ最近の日課となっていたようだった。

 一時期、清水さんはPARADAに毎日のように通ってきていた。何が気に入ったのかはわからない。居心地がいいと思ったのだろうか。あるいは、家も近いし都合がいい場所だったのかも。

 清水さんにいただいた「Happy Birthday」というタイトルのポストカード詩集が、PARADAの本棚にある。1988年に思潮社から出版されたものだ。その中の一枚、清水さんのお母様の少女時代の写真に添えられている詩が好きだ。

 初恋初夏初しぐれ 一行で全部をジャンプして 暴力的に反りかえる真っ青な空もあったなあ  (涼風の中で)

 思い出すのは、僕の肩をつかんだ清水さんの指が、長くて細くて柔らかくて、とても繊細な感じの指だったこと。

 カフェの日々も、もう少しで5年目を迎える。去っていく人がいて、新たにやってくる人がいて。気づけば今日は夏至。



  1. It‘s quite in here! Why not leave a response?



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